【鳩おばさんオリジナル紙芝居シリーズ】

【鳩おばさんオリジナル紙芝居シリーズ】

くりいむ池
①昔々あるところに、そ太郎という若者がおりました。そ太郎の家の裏には、大きな池と大きな栗の木がありました。そ太郎は、毎日山に登って、おっとーとおっかーのお墓に手を合わせていました。

②そ太郎の家は、大きな池と大きな栗の木のおかげで、豊かな暮らしをしていましたが、ある日突然、池の水が乾いてなくなってしまいました。

そして、栗の木も実をつけなくなってしまいました。そ太郎の家は、急にまずしくなり、おっとーとおっかーは、毎日ケンカするようになり、間もなく流行り病で、おっとーもおっかーも死んでしまいました。

③「なんだか気味が悪い。」
「不吉な池と栗の木だ。」
村の人々は、口々に噂をし、やがて、そ太郎の家に近づく者は、誰もいなくなりました。

④夕暮れになると、そ太郎は栗の木に登りました。夕陽を見ていると、自然と心が落ち着きました。村人がどんなに忌み嫌っても、そ太郎はこの栗の木が大好きでした。

⑤そんなある日、そ太郎が山に行くと、罠にかかった子キツネをみつけました。
ふと見ると、木のかげから、母キツネが心配そうに見つめていました。

「かわいそうに。今助けてあげるからね。」
そ太郎が、罠を外してやると、子キツネは嬉しそうに母キツネのほうへ歩いて行きました。

そして、いつまでもいつまでも、そ太郎のことをみつめていました。

⑥しばらくすると、そ太郎の家の戸をトントンとたたく者がありました。そ太郎が開けてみると、ひとりの僧侶が立っていました。

僧侶は鈴をチリーンチリーンと鳴らしながら
「水を一杯くださらんか?」と言いました。

⑦そ太郎が水を一杯わけてやると、僧侶はお礼に赤い玉のようなものをそ太郎に渡して、山のほうへ歩いて行きました。

⑧その日の真夜中です。そ太郎は、生臭い匂いで目を覚ましました。生あたたかい風が、くりいむ池のほうから吹いてくるのを感じたので、そ太郎が外に出ると、

栗の木の下に河童が立っていました。

⑨河童は、そ太郎に気がつくと、赤い目をギラギラさせながら、ケタケタと笑いました。
そ太郎が怖くなって動けないでいると、河童が言いました。

「俺の目ん玉返せ!」
よく見ると、河童の目玉は片方だけくぼんで、穴があいていました。
「お前が持っている赤い玉は、俺の目ん玉だ。それを返してくれたら、お前ののぞみをひとつかなえてやろう」

河童がそう言ったので、そ太郎は震えながら言いました。
「この池が枯れないようにして欲しい」
すると、河童は赤い目をギラギラさせながら、またケタケタと笑いながら言いました。

「この池の真ん中には何でか知らんが小さい穴があいている。その穴に蓋をすれば池の水はいっぱいになる。そんなことにも気づかなかったのか?
人間は本当に馬鹿だな」

河童はそう言って、くりいむ池の真ん中に歩いていくと、背中と甲羅の間から何かを取り出し、池の真ん中の小さな穴を探しだし、それを穴に入れました。

すると、突然雨が降り出しました。
河童は、そ太郎から赤い目ん玉をひったくると、雨の中に消えていきました。

⑩それから1週間の間、雨が降り続きました。
雨がやんで、あたりが静かになった夜。
また、くりいむ池のほうから生あたたかい風が吹いてきました。
そ太郎が外に出ると

11 栗の花が咲いていました。
そして、くりいむ池は、沢山の水が月の光の下で揺れていました。

12 それからというもの、池の水は枯れることはなくなりました。栗の木には、毎年たくさんの栗の実がなりました。
いつからか、村のひとたちは、そ太郎のことをくりいむ長者と呼ぶようになりました。
そして、そ太郎はいつまでも幸せに暮らしましたとさ。

くりいむ池 おしまい。

不思議なgarage けるーむぽるん

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